微小変化型ネフローゼ症候群、3回目の再発の入院記録

微小変化型ネフローゼ症候群の3回目の再発時の備忘録

【入院5日目】「はじめてなので教えてくださいね」という声かけが最強だと感じた日

入院5日目。

昨日の、夜勤の看護師さんは、検温・血圧・SpO2のために、私を6時に叩き起こそうと声をかけてきた。あまりに、昨日から混乱して、感情がぐちゃぐちゃだったため、布団をかぶったまま、寝たふりをして、気付かないふりをして、過ごした。

 

7時半になり、血糖測定をどうしてもしなければならない時間のため、叩き起こされた。「体調どうですか?」と聞かれるものの、昨日のこともあり、「大丈夫です」と目も合わせることが出来ず、「(さっさと、夜勤上がってくれ)」と思っていた。「(この人に伝えても無駄)」と私は思っていた。そう、昨日の対応1つで、もう、私はこの人に語らないことを決めてしまった。

 

入院中に担当にならないことを祈る。

 

今日の、午前中は、あさイチは、同室のおばーさんたちは、最初は眠っていた。9時半ごろから、しゃべり出したので、ホールへ移動。パソコンに、カタカタと入力しながら、お昼前までホールで過ごしていた。

 

足が浮腫んだ。流石、Alb2.9まで下がっているだけある。
頭がぼーっとするのも、なんとなくだるかったり、眠かったりするのも、身体がしんどいのだろう。イライラしてるのか、不眠なのか、眠りが浅いからなのか、もう何が何だかわからない。目もかすむ。

 

お昼の担当の看護師さんは初めて見る人だった。

名札に「主任」と書いてあった。昨日のことがあったからか、なんの幸運かは分からないが、権限がある人に相談すると、割と事が早く進む。自分の仕事も、同様に権限がある人がその場で即決してくれるとスムーズに進むので、「この人に、話をしたら、なにかいい案を、この場で出してくれるかもしれない」という期待を胸に、入院時から、昨日の担当の看護師さんの事まで、事実を伝えた。

自分の体調も、感情的にならず、不安な気持ちがあるのであれば、何が不安なのか、何故不安なのか、過去にどういうことがあったのか、理由もつけて、自分の考えも伝えた。

 

担当の「主任」看護師さんは、傾聴する能力も高く、こちらの話を切らない。そして、引き出す。そして、最後に言った。「難病の申請とかもされました?よくご存じなのですね。私、担当するの、はじめてなので色々教えてくださいね。看護師さんですか?」と話した。

 

この言葉に、感動した。

「はじめてなので教えてくださいね。」
というこの一言で、「この人に話そう」、「私の知っていることは、説明しよう」という気にさせられた。

 

私も、こういう言葉をかけながら仕事をしたいと覚えておこうと思ったと同時に、また、仕事ができるのか、医療職をするには、私には余裕がなさすぎるのではないかと思って、心のうちに再度しまった。

医療の現場でなくても、こういう声かけはできるもの。医療職に就くか、戻るかは、さておき、こういう言葉かけができる支援をする現場にいたいものだ。

 

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もう一つ、最悪の気分で、起きた今朝。

朝食を食べて、薬を飲むためのお茶を、ホールまで汲みにいった。お茶を紙コップに汲んで、Nsステーションで、「朝の薬ください」と若い男性Nsに声をかけた。薬を渡された後、部屋に戻ろうと、方向転換をした瞬間に、「あっ、そのコップのやつも、〇〇さんが書いたんですか?いつも食伝に書かれてるから」と。

 

私は、食事についてくる伝票、いわゆる食伝に「ごちそうさまでした☺」とニコニコマークを書いて、食器を下げている。それを覚えている人がいたのだ。介護・介助者が多い病棟の中で、そんな小さなことを覚えて声をかけれるNsが、ここにいたのかと思うと、少し心が救われた。

ただ、昨日からのやりとりと、寝不足と、こころの荒れ具合がひどくて、「はぁ…」「書いてないですよ」そんな返し方しかできず、「(こころが死んでるなぁ。申し訳ない。)」なんて思いながら、ほんの少しだけ、救われた。

「(この人には、話が出来そうだ。)」と思った。

 

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自分自身も、病院や老健で長らく働いてきた。だからこそ、「病気を診る」のではなく「人を診る」ことを大切に思う。治らない認知症の方、治らない精神疾患の方を多く診てきたからかもしれない。

 

病院では、迅速に適切な処置ができる技術者が求められる場面、現場もある。逆に、その人の人生に寄り添い、その人の過去に寄り添い、その人の家族に寄り添い、最期まで、その人らしく過ごせるように支援をすることが必要とされる現場もある。私は、そんな現場で、長らく働いてきた。

もちろん、それを苦手とするスタッフもたくさんいた。また、相性が合わない患者さんや利用者さん、家族さんもたくさんいた。そういう場合には、担当交代をする。

 

相性が、ガッチリと合うと、中には、新婚時代からの、のろけ話を話してくれる、ご家族さん(奥さん、旦那さん)もいた。頼むと、若いころの写真を山ほど持ってきてくれて、話をしてくれ、貸してくれる人もいた。

その人が歩んできた道、若いころの表情、そんなものを感じ、それを引き出そうと、私は躍起になって、関わり方や、関わり方のコツ、介助の時のコツを評価したものだった。うまくいくと、「よっし」と心の中でガッツポーズをした。そして、それを介護士さんに伝え、うまく使ってもらう。実際に、やっているところを、なるべく、人が多いところで、「この人こんなに笑うんだね」なんて、言ってもらえたらしめたもの。

いいところを見てもらい、気付いてもらう。それでも、相性が悪く、なんともならない場合もあるけれど、その情報を上手く生かしてくれる介護士さんもたくさんいた。

 

人と人の関わり、医療も、人間がやれる限界はある。最新の研究が、すべて頭に入っている人なんていない。相性もある。その中で、人は、できることを、出来る範囲でやるしかないのだ。

 

だから、私は、出来る限り、出来ることを、健康範囲内で行う。患者になっても、支援者だった時も、やることは同じ。命を預かる現場、命を扱う現場、人生に関わる現場、そこでも、限界はあるのだ。間違いは起きるのだ。忘れてしまうことはあるのだ。

だから、苦手だ、この人とは合わない、そう思ったら、きちんと非難ではなく、事実を伝える。

 

プレドニンで、頭がいかれるまでは、なるべくそうありたいと思う。

30mgになって、3週間くらい経てば、精神状態は落ち着く。丁度、ムーンフェイスやニキビがひどくなる頃なので、落ち込むものの、また、半年後には、まともな状態に近づいて生活が出来ていると信じている。

 

今日は、学びがあった日でもあり、たくさんの人に支えられた日だった。やはり、プレドニンという薬は、色々な面で理解がしにくく、理解されにくいと感じた。この経験は、どこかで使えないものだろうか。

 

 

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夫が、何気なく、「そのマスクの色いいね」と言った。こういう一言もまた、良いものだと思うのだ。