微小変化型ネフローゼ症候群、3回目の再発の入院記録

微小変化型ネフローゼ症候群の3回目の再発時の備忘録

【入院24日目】あたたかい

入院24日目。

 

今日も相変わらず低血糖。血糖値を測る時に、看護師さんが、既にブドウ糖を持ってくるようになった。しんどくないですか?頭痛いとか、気持ち悪いとかないですか?と具体的に聞いてくれるようになって、とても楽になった。ありがたい。ちっちゃな心遣いに、あさイチから感謝した。

 

今日は、午前中は眼科、午後はLDLアフェレーシス治療の5回目(最終になる予定)だった。10時半に、眼科に呼ばれ、外来まで歩いて行った。首にカテーテルをしているからか、受付でも、診察室内でも看護師さんたちが、とても優しかった。

 

歩けますか?痛くないですか?歩いて戻れますか?めがねとれますか?見えますか?

 

ひとつひとつ、丁寧に、私の様子を見ながら声をかけてくれた。部屋以外にほぼ出ないで過ごしているからか、ふわっふわして歩いていたのかもしれない。疲れていた私の心には、小さな声かけ1つ1つが、こころに滲みて、じんわり泣きそうになった。

 

眼科の先生も「入院、ずっとしているんですね」と。

 

眼圧は問題なく、目がかすむことを伝えたら「白内障が少し出てきてますからね」と。前の診察でも言われていたので、そうだったなぁと思った。私の、この目に見えている世界は、当たり前じゃないだなと感じた。今見えている世界は、明日見ることができるのか分からない。

そんな、当たり前のことを、ふっと思った。

 

今、私の目に見えているものを、目に映るものを、たくさん焼き付けておきたい。目が見えなくなる病気じゃないけれども、たくさんの【たいせつ】を、こころに留めておきたいと思った。

 

病棟に戻ると、あっという間にお昼ご飯の時間となり、そのあと、LDLアフェレーシス治療の時間になった。3年目の看護師さんと、おしゃべりしながら透析室まで歩いていく。

 

何気ない会話をしてくれて、あたたかさを感じた。「ここの廊下冷えませんか?」そう、それだけだけど、それだけでも、なんか、ほっこりした。私の心が穏やかになってきたのだろうか。力が抜けてきたのだろうか。トゲトゲしてしまわなくなった気もする。でも、そういう声かけに、ほっとした。小柄な、若めの看護師さん。3年目って、色々責任も増えてきて、大変な時期だろうなって思いながら、心の中で、がんばってって思った。

 

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LDLアフェレーシス治療は、技師さんとも顔なじみになり、機械の操作も、技師さんたちが慣れてきたように感じた。相変わらず、ウトウトしながら過ごした、

管が少し曲がっているだけで、圧力が変わったり、脱血が上手くできなかったり、そんな繊細な機械みたい。今日は1回、ピーってなったと思ったら、少しだけチューブが曲がっていたようだった。

 

今日で、最後になりそうですね。と声をかけてもらって、嬉しくなった。ウトウト目をつむって過ごしていたら、主治医の先生が来て、声をかけてくれた。蛋白尿は、ゼロでしたよ。って。寛解維持できていますよ。と声をかけてくれ、動けないのもあって、「よかったです。ありがとうございます。」とだけ答えた。

 

よっぽど、今日の採血結果が悪くなければ、明日、首のカテーテルを抜いてもらえる算段になった。カテーテルを抜くという工程自体が怖いけれども、首に何か刺さっている状態で過ごした、この2週間は、肩に力が入って、グロくて、お風呂にも入る気にならなかったり、消毒が痛かったり、本当にしんどかった。

 

段々と痛みも引いてきたけれども、やっぱり痛いものは痛いし、怖いものは怖い。明日が怖いけれども、もうすぐにでも抜いてほしいくらいの気持ちだ。イソジンの赤い消毒剤が、血液に見えて、本当に怖い。よく耐えたなぁと、今更ながら思えてきた。やっと、少しずつ頑張ったこと、頑張っていることに目を向けられるようになってきた来たする。

 

中々、つらいときに「つらい」と思うことは、難しい。

頑張ってるね、しんどいよね、手でもさすってあげたい、そんな言葉をかけてもらって、ハッとする。私って、頑張っているんだって、やっと気づく。

 

「つらい」「しんどい」って、認識できると、やっと言葉にできて、やっと感情がそのあとついてきて、やっとのことで、少しだけ涙が出る。そんな、気付かずに溜め込んだ感情は、いろんなイライラになって、他の人を攻撃してしまったり、自分を攻撃していまったりしていたように思う。

 

今でも、そういう感じはあるのだけれども、入院当初よりは、楽になってきた。だから、頑張ってるねって、声をかけてもらえるのって、認めてもらえるのって、ありがたいと思う。本当に、思う。

 

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あっという間に、夕方になった。

明日は、夫は早番で、しかも、仕事はいつもより3時間くらい残業がある日。とても忙しい日。大変だろうから、面会やめて帰って休んだら?ってメールを送ろうと思ったけど、本当は会いたいし、明日は会えなさそうだから、さらに会いたくて、メールを送るのを辞めた。

 

夫が面会に来てくれてから、明日早番だけど大丈夫?昨日は、夜勤明けの休みで、たくさん動いてたけど大丈夫?と声をかけた。今の私にできるのは、そのくらいだった。夫は、来てくれてから、私の手を握っていてくれ、一緒におしゃべりをしてくれていた。

私は、テレビを見ている夫を見ながら、笑っていた。夫は、テレビを見ていた。

そして、何が面白いの?と、まったくテレビを見ていない私は、夫に尋ねて、おしゃべりして過ごした。

 

家にテレビがないので、テレビを見るということが久々だった。「テレビ見てると欲しくなる?」と聞いたが、「いらない。テレビ売っちゃおうか」と夫は話した。二人の時間を、お互いを感じながら過ごせる時間が、しあわせだった。

 

夕焼け空を見ながら、夕飯が何だったか話しながら、「また大根だった?(夫は大根が嫌い)」と聞かれながら、笑って、何を食べたのか話した。

 

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退院したら、九州に旅行に行こうと思っていたけど、飛行機に乗るのは主治医にとめられてしまったことも話し、退院してから、2連休で石川県に連れて行って欲しいとねだってみた。

 

座敷で、ごはんが、こーんな風にならんで、出してもらえて、食べれるやつやってみたい。

 

とリクエストしてみた。そしたら、「こうやって、カチって、火をつけてグツグツするやつもついてくるやつでしょ?」と、返され、「そうそうそれそれ」と笑って話した。朝ご飯も、お部屋に運んできてくれて、ふかふかのお布団を敷いてもらって、…、お風呂は、(感染もあるから)難しいかもしれないけれど、なんて話しながら、二人で妄想を膨らませた。

 

普段、ゲストハウスや、安いビジネスホテルばかり泊まって、いろんなところに出かける旅行をするので、のんびりする旅行は、実際、二人でほとんどしたことがない(笑)だから、二人とも分からないことだらけなのだが、そんな、楽しいことを考えて、妄想しながら一緒に過ごした。

 

ぁぁ、とてもしあわせだと思った。

 

薬の副作用で、ほっかほかの手を握っていてくれながら、温まりすぎて、夫は眠たくなったようだった。今日は、キャベツが98円で、胸肉が38円でね、なんてことも教えてくれた。美味しそうなキャベツだったらしい。

美味しそうな野菜を見つけて、嬉しくなる私の癖が、結婚してから、夫に伝染した(笑)そんなことも嬉しい。

 

昨日は、ちゃんとご飯食べた?

冷凍のチャーハン買っていったら楽だよ?美味しいよ?本格炒めチャーハン。

明日は冷えるって。銀色のシートちゃんと敷いた?

今日上着着てきた?寒くない?

 

そんな質問攻めも、ついついしてしまう。夫が、元気でいてくれるのが嬉しい。

 

今日は、こころがほかほかして、あたたかい日だった。

明日は、カテーテルを抜く日だから、緊張しちゃうけれども、治療が前に進んでいるのを感じながら、穏やかに過ごしたい。

 

 

なんだか、心が穏やかで、ふわっと、涙がやっとこぼれてきた。すぐに止まっちゃったけど、「ぁぁ、入院つかれたなぁ」って思えた。

 

そして、やっぱり、友だちに会いたいなぁと思うのだった。

また会おうね、また一緒に歌おうね、また一緒にご飯行こうね、会いに行くね、そんな風に声をかけてくれる友だちがいるのが、とてもとても支えになっている。